2013年02月27日

イン・ザ・プール、空中ブランコ、町長選挙

奥田英朗 著    イン・ザ・プール、空中ブランコ、町長選挙

いわゆる、伊良部先生シリーズですね。

ねこてんは、長らくこのシリーズを「アナザヘブン」みたいなホラー物だと
思い込んでいました。

たぶん、文庫版の表紙(あの見ようによっては不気味なアモール)を見て
そんな気がしていたのだと思います。

一時期、ホラー物にはまっていたことがありましたが、ここ数年は食傷気味で
このシリーズも、ホラーだと勘違いしていたために、割りと最近まで手に
取りませんでした。

書評か何かで、ヘンテコな精神科医がどうたらこうたらみたいな文章を読み、
あれれ〜ホラーじゃないかもということで、読んでみたらこれがなかなか面白い。

はじめは、「イン・ザ・プール」と「空中ブランコ」のみ入手したんですが、
すぐに、シリーズ最新の「町長選挙」も揃えちゃいました。

3冊とも短篇集で、訪れる患者よりもよほど重篤な病に罹っているとしか
思えないような、フリーダムな精神科医の伊良部一郎先生が、毎回荒唐無稽な
ドタバタを繰り広げるうちに、結構深刻な患者たちは、脱力し、諦観し、
なんだか吹っ切れて、気がつくと治療されてしまっているというお話。

謎の看護婦(刊が進むと看護師に呼称変更)がスパイス効かせてて良いですね。
ねこてんの中では、映画「パコと魔法の絵本」に出てきた土屋アンナさん
扮するおっかない看護師に変換されていました。

どの話も、悩んで追い詰められて病んでしまう人々は、現代社会の色々な側面を
的確に切り取っていて、ちょっとひとごとではない、あるいは、身近にそんな
人がいるかもと思い当たるフシがあったり。

ここが、きっちり書かれているので、伊良部先生の天衣無縫ぶりが、
単なるオフザケにならないで済んでいる。
(伊良部先生って容姿を完全度外視すると、京極夏彦氏の妖怪シリーズに
出てくる超探偵榎木津礼二郎を彷彿とさせるところが多々ありますね…
まあ、礼二郎さんはこんなに情けなくはないけどねw)

病んだ人々が癒される過程で、ちょっとホロッとさせらる部分もあり、
読後感はどれもほんわかぬくぬくです。

ただ、最新刊の「町長選挙」はちょっと毛色が変わって来ていて、入っている
4編中3編は、読むともれなくモデルがわかる有名人のパロディみたいになって
これはこれで面白いですけど、ちょっとしらけるというか、なんか読んでて
気恥ずかしい感じがする部分もありました。

最後の話「町長選挙」では、物語の舞台は初めて地下の診察室から
遠く離れた離島に…で、これがちょっとイマイチだったかな。

マンネリ化を避けたいのかもしれないけれど、こういうのは、きっと
予定調和だからこそ読者のカタルシスがあるんじゃないかと思った次第です、はい。

若干失速の気配を感じましたので、願わくは、このままフェイドアウトしないで、
伊良部先生の活躍が長く続いていってくれますように。

あっという間にサクサク読めますし、馬鹿馬鹿しいようで考えさせられる、
そして結構癒される、忙しい方におすすめのシリーズです。








posted by ねこてん at 17:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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